父との時間。
父は、故郷を飛び出してもう20数年になります。
飛び出して、という言い方はちょっと語弊あり、一念発起して上京した、のほうが正確かな。
私から見ると、まさに、『機を見るに敏』。仕事がないとみるや即刻上京、裸一貫で仕事先を見つけて今はしっかり仕事場をキープしています。
そんな父の姿、何度誇らしく思ったことか。
そんな父との交流を、今日はいくつかつらつらと。
父のアパートは、私のアパートから徒歩30分ほど。
近くに住んでいるので、月に2、3度は夕飯(と称した飲み会)を一緒にします。同居しようという話もあるのだけれど、父はいずれは青森に戻る予定なので、シングルの方がいいようです。とはいえ、部屋で一人で飲むよりは、
『なンどど飲む方がさンびしぐねくていいじゃ』
と言ってくれます。最近は、津軽弁談義にも花が咲き、かみさんが九州出身なものだから方言合戦もいい酒の肴になります。
父は、左官です。
どちらかというと、一匹狼的な職人。
ほとんどの現場を一人で仕上げます。
昨日、久しぶりにその父の現場を手伝いにいきました。
個人宅の玄関まわり。玄関扉の前の階段と、勝手口の前の階段を作るのが父のその日の仕事です。
上の写真の階段部分。父、作業。
これから、正面もきれいに仕上げます。最後にはタイルを敷き詰めます。
今では、左官が壁塗りの仕事をすることも減ったようです。工法の変化、コストダウンなどの影響があるようです。
それでも、父が仕上げる階段の表面はとてもきれいです。モルタルを塗り上げていくコテさばきは見事なものです。わたしもそこそこ手さばき(手影絵ですが)はありますけれども、父もとても柔らかい手首でコテを扱います。
私がお手伝いするのは、そのモルタル作り。
大きなタルに、セメント、砂、水をぶち込んで、ライフル銃のようなミキサーでこねくりまわします。しっかり両腕で押さえつけないとミキサーの回転に自分の腕が吹っ飛ばされてしまいます。
そのモルタルが出来たら、小さなオケに入れて、父の手元まで運んでいきます。水分と砂を含んだセメントはかなり重い。
いつも、この作業を一人でやっているのだと思うと、還暦とはとても思えません。
『これ、お前の弁当』
現場に着いて、父は私にラーマゴールデンソフトのプラスチックケースを手渡しました。ほんのり暖かい。
ふたを開けると、白ご飯に梅干しと塩昆布がのっています。
別のタッパには、シャケの焼いたのが入っていました。
父の作った弁当など、これまで食べたこともありません。それどころか父の料理も食べたことがない。
いつもは吉野家やコンビニ弁当で済ませるのだけど、今日はちょっと違いました。
そして、父の弁当、これが、なかなか美味しいのです。
お米の炊き方、シャケの焼き塩梅など、ビックリしてしまいました。
生んでもらって37年目、新たな父の一面を見ることになって、ちょっと嬉しかったりします。
さて、この弁当写真を家族に写メしたら、様々な返事が返ってきました。
母→おいしそう!見た目より中身で勝負、愛情イッパイ、これで我が家は安心!
妹→朝定食、20年以上も工夫してきたんだもんね!
弟→ははは、もっと盛りつけに芸術性を持たせなさい!
ちなみに、弟は、料理人です。
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