« 初日無事開け! | トップページ | 京都→横浜。 »

2010年4月29日 (木)

竹下玲子の会。

昨日、東京、三越本店そばにあるお江戸日本橋亭にて。

ウチの劇団で、台詞指導をしてくださっている若林一郎先生のご紹介で鑑賞に出かけました。先生、今年傘寿をお迎えになるそうなんですが、案内役をつとめられたさいのその闊闥でメリハリあるトークを聞いていると、とてもそんなお年とは思えません。
『子守唄を歌うおかあさんが最近はいない』
そういったお話から始まりました。
おかあさんの優しい息遣いに包まれながら、子は夢路へと向かう。
子守唄を子どものそばで歌ってあげることによって、親子の更なる一体感が得られたりするんだそうです。
なるほどと、思いました。
わたしは、母親の子守唄をぼんやりとですが憶えています。母親だけでなく、叔母の唄声も。
そして、ちょっとずるすけ(小生意気?)になると、逆に脅されました。
『早グ寝ねバ山がらモッコ(オバケ)来るど』なんてね。

さて、その先生のご案内で始まりました、唄語りの会。
『瞽女』という、盲目の旅芸人の『語り』を唄語るという内容です。
実は、この『瞽女(ごぜ)』という名前を耳にしたのは初めてではありません。
『瞽女』という言葉を最初に耳にしたのは約20年前。説教節を読み解く一人芝居、『しのだづま考』について書かれた本を読んだときでした。瞽女が、説教節を語り歩いていたという一文を目にし、少し調べてみたこともありました。

舞台には、太竿の三味線を手にした竹下さんがお一人。
『瞽女松阪』という唄を弾き語り、その後に『巡礼おつる』という語り物、休憩をはさんで、子守唄を始めに瞽女の芸能が演じられました。
竹下さんの声はとても凛としていて通り良く、耳にここちよく言葉が入ってきます。
とても綺麗に言葉を発しているし、聞きやすい。でも、これくらいなのかな…。と思っていたのだけど。
桟敷に座って、唄声を聞き始めてしばらくして、涙が止まらなくなりました。
もちろん、語り物のストーリーが哀切な展開だというのもあるけれど、それだけではないような気がします。
語られる言葉から、脳裏にその情景が浮かび続けるのです。
しかも、その情景は、時間が経るほどにくっきりしています。
素晴らしい日本語だからこそ、そういう効果があるのだと、今日、『瞽女唄伝承』を読んではっきりしました。
本来の日本語とは、それほどに素晴らしいものなんですねえ。

瞽女さんになるには、とても厳しい修行をしなければいけないそうです。
越後瞽女さんは、小さい頃から、『寒声』という、冬、信濃川沿いに立って、向こう岸に届くぐらいの声で唱わされる稽古を繰り返したとか。

芸能とはなんたるか…それを少しですが感じられたひとときでした。

ちなみに、隣で観ていたかみさんのお腹の中の我が子も、その唄語りを楽しんでいたようです。
わたしも、我が子に子守唄を聴かせてやりたいなあ。
でも、やっぱり、これだけは『母親の特権』なのかしらん。

|

« 初日無事開け! | トップページ | 京都→横浜。 »

コメント

「竹下玲子の会」と言うのがあるんですか?最後の瞽女伝承者小林ハルさんから師事を受けた方ですよね。

有馬稲子さんの舞台「はなれ瞽女おりん」を何回か観ましたので・・・

投稿: さくま@夢屋 | 2010年4月30日 (金) 午前 09時01分

さくまさん。

さすが!
ご存知でおられましたね。
ハイ、公演は、もう十数回を数えています。来年も、同じ場所で、4月中旬の公演が決まっているようですよ。来年、時期があいましたらおいでになってはいかがでしょう?見応えがあります。


若林一郎先生もたいへんお元気で、わたしの倍のお年とはとても思えません。
芸能の広がりをあらためて知るとともに、まだまだ自分の視界は小さいと恐縮してしまいました。
まだまだ先を見据えて!ですね。

投稿: しゅう | 2010年5月 1日 (土) 午前 09時07分

若林一郎さんの近況が知りたくて、このblogに辿り着きました。竹下さんもお元気な様子ですね。
片田舎で演ずる「村芝居」に若林さんから脚本をプレゼントされ、30年ぶりに復活。以来23年間、春祭りには村芝居を演じ続けています。
しかし、来春はどうなるか・・・?

投稿: まるたか | 2010年12月 4日 (土) 午前 09時56分

まるたかさま。

カキコミありがとうございます。

若林先生は、今月から、かかし座の下呂公演の新作の台詞指導のため、稽古場に数度見える予定です。今回は、わたしは新作の舞台には立ちませんが、今年、講釈の講座を何度か受けました。矍鑠たる言葉の流れに目や耳、心も奪われました。

まるたかさまは、どちらのお方なのでしょう?
もしお伺いできれば、近況を、先生にお伝えすることも可能です。

村芝居、ぜひお続けになってくださいね。

投稿: しゅう | 2010年12月 8日 (水) 午前 08時56分

「まるたか」といえば、若林先生は「あ~。」と納得の筈です。今日「素人台本」を送りました。先生に見てもらいたくて、そして手を入れて戴きたくて・・・。
村芝居の役者も年を取ってしまいました。たぶん来年の春祭り公演が最後になるかも・・・。

投稿: まるたか | 2010年12月 8日 (水) 午後 09時10分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 竹下玲子の会。:

« 初日無事開け! | トップページ | 京都→横浜。 »