

たいへん久しぶりの能鑑賞。
狂言だけはよく観ていたけど、能も含めては十ウン年ぶり。以前は国立能楽堂で観たんですが、なにがなにやらチンプンカンプンだった記憶があります。
その頃は、面白いとか興味があるとか、そうではないとかいうのではなく、とにかくいろいろなジャンルを観ようという気持ちでもって観あるいていました。
今回は、違います。
きっちり、能を観ようとこころに決めて行きました。
しかも、初めて観る薪能。しかも、平安神宮という場所でです。もともとは神様に奉納するための芸術なのですから、なすべきところでなされるというのも初めて。初めてづくし。
開場から開演まで1時間もあるというのに開場前、三門前にはすでに長蛇の列でした。座れるかしらと心配していましたが、いざ開場して会場に入ったら、桟敷もイスもたくさん準備してあります。せっかくの薪能だから、火のはぜる音も一緒に楽しみたいと思い、ワキ席の最前列を陣取りました。
チラシの売り子さん、イイ男ばっかりいると思ったら。
なんだか、一人、たいへんイキのいいかたがいらっしゃいます。
『パンフレットはいかがですか〜パンフレット。ウチワになるし日傘にもなるよ。なんと今回はクリアファイルつき!このクリアファイル、なにが不思議かといいますと、ホラ見なさい!裏と表が分からない!』
なんてこと言ってたかしらん。まるで香具師みたい。
このかた、どこかで見たことあると思ったら、『ちりとてちん』の『底抜けに〜』の茂山宗彦さんではないですか。
売り子のみなさん、(たぶん)狂言の茂山一門のかたがたのようでした。ウチの芝居の指導をされている茂山あきらさんもおられましたよ。
ミーハーパワーから、ついついサインを頂いてしまいました。
今日のプログラムは、
翁
花月
挨拶、火入れ式
羽衣
釣針
紅葉狩 鬼揃
以上。
今回の薪能、2日間あって、どちらも演目が違います。
なぜ今日を選んだかといいますと、『羽衣』と『釣針』を見たいがため。
さて、感想はといいますと。
たいへんよかったです。
3時間半と長丁場でしたが、かなり集中して観ることができました。
とくに、火入れのあとの『羽衣』。
時はまさに逢魔刻。
ゆらめく焔と天女の舞がまさに幽玄の空間を作り出していました。松葉目のかわりに背後に立つ平安神宮が、徐々に闇夜にうかびあがります。
『花月』、『紅葉狩』。
能面というのは不思議なものです。ちょっとうつむいたり首をふったりするだけで表情がかわるのです。
そういえば、能面の良し悪しで能の出来も変わるということを聞いたことがあります。あたしみたいな素人にはわかりませんが…。
『釣針』。
たぶん、メジャーな狂言なんですよねこれ。オチがすぐわかりましたから。
最初からゲラゲラ笑わせていただきました。千五郎さんの竿の振りっぷり、とぼけっぷりが最高です。
観ていて思ったこと。
薪能の、薪をくべるオジサンが、意外とたいへんなんだということ。
はぜる火が、桟敷席に襲いかかります。最前列で鑑賞するばあいは火の元に注意。しかし、日が暮れても寒くはなかったですからそういう点ではいい席です。
能面をしているのに関わらず、あれだけの声量をどうやって出しているのか。これは、わたしの仕事にもいいヒントが得られそうです。
下呂の仕事をやっていたので、お囃子や太鼓も少し興味深く聞けたかしら。鼓の音、気持ちいいですね。身がひきしまる感じがします。
長々と書きました。
ホテルに戻って、煙に目をやられて、しかも気持ちも高揚していたのか眠れず、今日の本番は、寝不足でございました…。
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